西芳寺庭園

入梅前の小旅行
通称「苔寺」で名高い西芳寺からスタート
本堂で心願成就の写経を行った後苔庭を散策
庭間建築の湘南亭が興味深い
広縁と茶室が2枚障子で仕切られ開放するとひと間続きになる
高床の縁からの見晴らしはいかがなものだろう
屋外仕様で天井が土塗りなのもおもしろい
今風でいえば展望テラスのカフェでお茶を楽しむということか
苔は多彩で瑞々しく陰影による色彩の変化は別世界である ◇旅

アイノとアルヴァ 二人のアアルト

アイノ・アアルトといえば有名なガラス器「ボイゲブリック」
今回の展覧会を観て 二人のアアルトが二人三脚で名声を得ていたことがわかる
アイノ単独のクレジットとして残っているものは家具やインテリア中心だが
夫婦の協働はアアルト作品の礎になっていたことは明らかだ
初期の木造規格化住宅、家具L-レッグの量産化に至るアルテックの設立、アアルトハウスのインテリア
アイノの内助の功とビジネスにも長けた自立したデザイナーの一面は納得のいくもの
やはりパートナーは大切だ
「アイノとアルヴァ 二人のアアルト フィンランド― 建築・デザインの神話」展:兵庫県立美術館 ◇旅   

竹中大工道具館

「木造建築の歴史」は「道具の歴史」
現物・復元資料、大規模模型、豊富な映像が迫ってくる展示内容は圧巻でした
電動工具が普及した現在 鑿(のみ)、鉋(かんな)、鋸(のこぎり)錐(きり)などを使う建築の仕事は限りなく少なくなった
一部の宮大工的な仕事は受け継がれているのだろうが、、
一般建築の中でも造作、家具や建具、建築以外で言えば桶や樽など木工製品のための道具は残っているだろう
丁寧に造り込む職人の精神とともに、手仕事を通じて大工道具を後世に引き継いでほしい
写真は唐招提寺金堂原寸大組物模型 ◇旅

とらや京都店

とらやの羊羹は贈答品として百貨店で購入するのが常であるので
直営店に来たのは初めてである しかも発祥の地
京都御所の近く室町時代から公家に菓子を献上していたとか
こだわりの和菓子にリンクするかのごとく建築ディテールも見ごたえがある 
老舗中の老舗に相応しい上質かつ繊細な和空間が用意されていた 設計:内藤廣 ◇旅

ロームシアター京都

京都会館 1960 設計:前川國男
ロームシアター京都として2016リニュアル 設計:香山壽夫
京セラ美術館同様ネーミングライツにより企業名が付いている
京都発祥の企業がいかに地域への愛着と建築文化への理解があるかがわかる
前川建築の造形と意匠を最大限残しつつ通りに面した書店とカフェが効果的に人を呼び込み
半屋外の深い軒下や広場、屋上テラスが活性化している
京セラ美術館ほど大胆さはないが堅実なリノベーション これはこれですばらしい ◇旅

京セラ美術館

今まで岡崎公園界隈を何度か訪れたが一度も入ったことがなかった京都市美術館
帝冠様式の古くて権威的な外観のイメージが足を遠ざけていたのかもしれない
昨年大規模な改修後オープンした京都市京セラ美術館
掘り下げられたスロープの広場による「ガラスリリボン」と呼ばれる地階エントランスの発想は見事に誰でもwelcomeな美術館に再生した
ベルリンの国会議事堂と同様 利用者目線のプログラムの再構築と原型を限りなく留めた画期的なリノベーションだ ◇旅

高台寺・傘亭と時雨亭

京都散策 今回は新旧織り交ぜたプログラム
東山の高台寺からスタートし北上する

高台寺東側の高台に位置する傘亭と時雨亭は伏見城から移築した桃山時代の茶室
傘亭は唐傘のごとく天井が竹で組まれた草庵の風情
土間渡り廊下で繋がった時雨亭は2階建ての眺望を活かした吹きさらしの茶室
現在でいえばあずまやと展望台のようで、秀吉はこの空間でいかに茶を楽しみ考えを巡らしたのだろうか ◇旅

八窓軒茶室

瀧先生の展覧会のあと洛北の曼殊院門跡を訪れた
江戸時代初期の代表的な書院建築と枯山水が見どころだが
目的は小書院の奥にある茶室である
草庵式の茶室には八つの窓がある
八窓は仏教の八相を表すとされ
躙り口右手の窓は虹窓と呼ばれ光のアスペクトで季節、時刻、晴曇により様々な色彩が現れる
その日は小雨降る曇天で、障子紙がぼんやりと虹色に見えたり見えなかったりだったが、
暗い静寂の空間に八窓の鈍い光が織りなす幽玄の小宇宙を体験できた

修学院離宮・浴龍池

初めて修学院離宮を訪れた
上中下離宮に分かれ水田に囲まれた広大さは圧巻
汗をかいて登りつめた上離宮に佇む浴龍池は谷川を堰き止めて造った人工池
空と緑の鏡面反射は息を呑むほど美しい(写真ではこの感動は伝わらない)
京の街並み、遠く愛宕山まで望むこの景観を300年以上前に人の手で造られたことは驚くばかりです