藤田美術館

今年4月にリニュアルオープンした藤田美術館(大阪市都島区)を訪れた
実業家藤田伝三郎、藤田財閥のコレクションが真っ暗な蔵を彷彿させる空間に展示されている
国宝級の展示品を鑑賞するのもちろんだが、都会のど真ん中に広々とした庭園と
洗練された建築の空間体験ができることに価値がある
幕末から明治にかけての関西経済に活気があったことが想像でき
令和の現在にまでその遺産がブラッシュアップされて受け継がれていることは驚きである ◇旅

桂離宮・月波楼

聴竹居のあと桂離宮を再訪した
書院建築群はこけらの葺き屋根の葺き替え工事中(これも貴重な体験)
回遊式庭園は季節、天候により違った魅力を楽しめる
この日は夏の空、水辺の緑は深い
松琴亭、賞花亭、笑意軒、月波楼の茶室はそれぞれ魅力的なのだが
聴竹居のあと開口部の開放性が現在にも通じる月波楼に注目した
土間部分のかまどや水屋棚の吹きさらしで勝手(裏)が表 風が抜ける
竹組に葦を敷き詰めた天井は軽妙、畳に寝そべりたくなる心地よさだ ◇旅


聴竹居

盛夏の小旅行 京都大山崎の聴竹居を訪れた
1928年(昭和3年)に建てられた建築家藤井厚二の自邸であり実験住宅
「住まいは夏をむねとすべし」という徒然草の一節を実証しようとした環境共生住宅といわれている
興味深いのは現在にも通じる居間中心のプランニングと開放的な開口部のデザイン
この建物が保存される経緯に偶然が重なったとはいえ松隈章氏をはじめ地域の保存会メンバーの尽力が大きい ◇旅


夏の甲子園

阪神球団は16もの借金をこの日完済しました!!
大濠出身クローザー浜地真澄が安定した仕事ぶり
後半戦「劇的なドラマ」が生まれる予感
浜風がここちよい ◇旅

長府にて

汗をふきふき 壇具川沿いから古江小路を散策
電柱が埋設された緑深い練塀の街並みがここちよい
30年以上前に訪れた時から周辺の変化は否めないが
土壁石畳の景観が維持されていることはすばらしい
小さな城下町長府 功山寺、旧毛利邸など見所も多い ◇旅

泉大津市立図書館シープラ

旅の番外 縁があり泉大津市を訪れる
新しい市立図書館は1990年代に建てられた駅前の5階建て商業施設の4階ワンフロアに移転していた
くたびれた商業施設に公共図書館が入居して起爆剤になればとの発想だろう また箱物行政を回避できる
そもそも商業施設は駅前再開発の産物で時代とともにニーズが変わり集客に苦しんでいた
核店舗のダイエー閉店後 テナントは空きだらけ
古い図書館の老朽化による建て替え計画が渡りに船だったのかもしれないが、誰のアイデアだろうか
館内には特産品の毛布を今風にアレンジした商品のショップやカジュアルな郷土資料の展示があり
平日の午前中にもかかわらず多くの市民が利用していた 地域活性化の成功例になる予感 ◇旅

ブルーボトルコーヒー京都カフェ

コーヒータイム 南禅寺門前に移動
名物の湯豆腐料亭が軒を連ねる通りにある京町屋を改修したカフェ
2棟あり、通りに面した物販店舗と中庭を挟んだ奥がカフェ
通り抜けができる土間空間が繋がり一体感がある
カフェは中庭に面した2層分のガラス張り
さらに奥の坪庭に面した個室、2階にもスペースがあり
大中小のまったり空間が用意されている
むきだし梁、土壁、竹小舞など既存の荒々しさと新しいマテリアルが共存したインテリアも秀逸です 設計:長坂常 ◇旅

鳩居堂

大徳寺のあと 本能寺寺町通りに移動
「鳩居堂」は1663年創業の老舗 お香、書画用品、はがき、便箋、金封、和紙製品の専門店
商店街のアーケードを挟んで向かい合わせの2棟を建て替えたよう
構造は切妻屋根の単純な鉄骨造のようだが繊細なスチールパイプのトラスがリズミカルに補強しているのか?
見付の細い杉ルーバーが天井、壁を覆い2棟は類似ディテールとなって店のイメージを強く印象付けている
扱っている商品、客の指向性、老舗としてのプライドを汲み取ったトータルデザインが清々しい 設計:内藤廣 ◇旅

大徳寺孤篷庵

西芳寺のあと7年ぶりに一般公開された大徳寺孤篷庵を訪れた
書院座敷に茶室を融合した忘筌席(ぼうせんせき)は当時としては斬新であったであろう
内外境界の上部に障子が仕込まれた間接光
下部は開放され近景(前栽、手水鉢、灯篭)が切り取られている
当初座敷の天井の杉板は胡紛で白く塗られ広縁に反射した光が部屋全体を照らしたとか
光の制御と視覚的効果が絶妙である
書院式茶室の開放性は俗事から離れた小宇宙をつくろうとしている  作:小堀遠州 ◇旅